三重県菰野町で撮影した住宅の竣工写真です。
やわらかな陰影をつくる塗り壁と、深みのある木部の表情が印象的な住まいでした。
菰野町の住宅ならではの落ち着いた空気感を、素材と光の関係が伝わるような建築写真として丁寧に記録しています。
階段・吹き抜けとワークスペースがつながる入口まわり
三重県菰野町で撮影したこの住宅は、空間に入った瞬間から、素材のやわらかさと線の美しさが伝わってくる住まいでした。階段まわりには黒い手すりが軽やかに納められ、木の踏板や床材の落ち着いた色味とよく調和しています。
階段下には小さなワークスペースが設けられており、単なる通過点ではなく、暮らしの居場所として計画されているのが印象的でした。吹き抜けの高さによって視線が上へ抜けることで、室内全体に穏やかな広がりが生まれています。

玄関ホール・曲面壁がやわらかな導入をつくる空間
玄関ホールでは、やわらかくカーブした壁が視線を受け止め、室内へ入っていく流れを静かに整えていました。直線だけで構成せず、曲面を取り入れることで空間にやさしいリズムが生まれています。
床には木の質感がしっかり感じられる素材が使われ、建具の深い色味が空間全体を引き締めています。白い壁との対比も美しく、明るさの中に落ち着きがある玄関でした。

廊下・木製建具と塗り壁が印象を深める動線
廊下のシーンでは、壁の質感と建具の存在感がこの住宅の個性としてよく表れていました。室内に使われているスペイン産の塗り壁「ESTUCO WALL(エスタコウォール)」は、自然素材・無機質ならではのやわらかな陰影があり、光を受けたときの表情がとても繊細です。
断熱性・防汚性・耐久性など、住まいに求められる機能を備えながら、空間にやさしい質感を与えている点もこの素材の魅力だと感じました。木製建具の濃い色味と組み合わさることで、単にナチュラルなだけではない、少し深みのある空気感がつくられています。建築写真としても、こうした壁面の質感は平面的に見せるのではなく、自然光のわずかな濃淡が伝わるよう意識しています。

ディテール・小さな造作が住まいの温度をつくる
住まいの魅力は大きな空間構成だけでなく、小さな造作にも表れます。壁の中に設けられた小さなニッチ収納は、その代表的な存在でした。アーチ形の扉や金物の表情に遊び心があり、空間全体のやわらかな印象をさらに深めています。
こうした細部は、暮らしの便利さだけでなく、その家らしさを静かに支える要素でもあります。建築写真では、建物全体の構成に加えて、こうしたディテールが持つ空気感もきちんと残したいと考えています。
また、塗り壁の表情と小さな造作が並ぶ場面では、この住宅に使われているESTUCO WALLの素材感がよりよく伝わってきました。表面のわずかな陰影や手仕事のようなやさしい揺らぎが、空間全体の空気を整えています。



キッチン・曲線のカウンターが空間をやわらかくつなぐ
キッチンまわりでは、ゆるやかに描かれたカウンターの曲線が印象的でした。壁の塗りの表情と木のカウンターがやさしくつながり、空間に独特のやわらかさを与えています。
直線的な設備機器が多くなりがちなキッチンの中で、この曲線は視覚的な緊張をほどき、LDK全体とのつながりを自然に感じるようになっていました。照明器具の選び方にも統一感があり、素材と光が穏やかに重なり合うキッチンです。

ダイニング・光と家具がつくる穏やかな居場所
ダイニングでは、木のテーブルや椅子、照明のやわらかな光が重なり、静かで落ち着いた時間が流れていました。壁や天井は明るく整えながらも、家具や建具に深みのある色を使うことで、空間にしっかりとした重心が生まれています。
窓まわりの光もやわらかく、住まい全体を包み込むような印象があります。写真にしたときにも、明るさだけで見せるのではなく、家具と空間の距離感が自然に伝わるよう構成しました。


水まわり・素材感を揃えた造作の美しさ
洗面やトイレにも、この住宅らしい素材の選び方が丁寧に表れていました。洗面ではタイル、木部、照明の組み合わせが美しく、造作ならではの整った佇まいがあります。
トイレ空間も同様に、床材やカウンター、手洗いの納まりまで統一感があり、機能的でありながら空間としての質がきちんと保たれていました。住まい全体の世界観が水まわりまで途切れず続いていることが、この建築の完成度につながっていると感じます。


建築写真について
建築写真は、建物の形を記録するだけでなく、設計意図や素材の質感、光の流れ、空間同士の関係を丁寧に伝えるための写真だと考えています。
近藤雅美は、愛知県・岐阜県・三重県を中心に、住宅や店舗などの建築写真撮影を行っています。建物の魅力が自然に伝わる写真を心がけ、竣工写真撮影に対応しています。
設計・施工:株式会社 プロホーム・大台
写真: 建築写真家 近藤雅美