愛知県新城市で、棟梁自身の山から切り出した木を使って建てられた住宅を撮影しました。
室内に入ってまず目を引くのは、吹き抜けを横切る大きな梁です。
一本一本の太さや木目、わずかな曲がりもそのまま生かされ、木そのものが空間をつくっています。
その木へのこだわりは、柱や梁だけではありません。
キッチンには一枚板のカウンターが据えられ、大きな構造から日常的に手に触れる場所まで、棟梁の木に対する考えを見ることができました。
棟梁の山から切り出した木で建てる
この住宅で使われている木は、棟梁自身の山から切り出されたものです。
山に立っていた木が材となり、柱や梁として組み上げられ、建築を構成していく。
室内を見上げると、何本もの梁が異なる方向へ架かり、それぞれの太さや木目、形の違いを見ることができます。
均一に整った材料ではなく、それぞれの木が持つ表情を残しながら組み上げられていることが、この空間の大きな特徴です。
太い梁を天井の中へ隠すのではなく、その存在をそのまま見せる。
構造であると同時に、木そのものが室内の表情をつくっていました。
吹き抜けを横切る大梁

吹き抜けを下から見上げると、大きな梁が何層にも重なります。
さらに2階へ上がって吹き抜けを見下ろすと、下から見たときとは違い、梁がどの方向へ架かり、空間をどのように横切っているのかがよく分かります。
近くを通る太い梁、その向こうにある梁、さらに下のリビングへと視線が抜けていく。
撮影では一本の梁だけを強調するのではなく、梁と梁の重なりや距離、吹き抜けを通して上下につながる空間が分かる位置を探しました。
木の量感とともに、この住宅の構造そのものが見える写真を残したいと考えました。
一枚板を使ったキッチンカウンター
棟梁の木へのこだわりは、大きな柱や梁だけにとどまりません。
キッチンで目に入ったのが、一枚板を使ったカウンターです。
長いカウンターには木目が途切れることなく走り、縁には木が持っていた形が残されています。
正面から空間全体を撮るだけでは、この一枚板の存在感は十分に伝わりません。
そこでカウンターに近づき、一枚板を画面の手前から大きく入れることで、木目の流れや厚み、縁の形が分かるように撮影しました。

構造を支える大きな梁から、毎日手に触れるキッチンカウンターまで。
使われる場所や役割は違っても、木そのものの形や表情を生かそうとする棟梁の仕事が、住宅の各所に見られました。
木目や曲がりまで写真に残す
無垢の木は、一本ずつ表情が違います。
真っ直ぐなものもあれば、わずかに曲がったものもあり、木目の流れや節の位置も同じではありません。
この住宅では、そうした違いを消して均一に見せるのではなく、それぞれの材が持つ形が建築の中に残されています。
建築写真を撮るときも、単に「木を多く使った住宅」として写すのではなく、一本の梁がどこからどこへ伸びているのか、別の梁とどう重なるのか、その先にどの空間が見えるのかを追いました。
木の色だけではなく、木目、節、曲がり、太さ、そして材同士の距離まで写真の中に残していきます。
山の木が建築になる
この住宅を撮影していて強く感じたのは、木が単なる仕上げ材として使われているのではないことでした。
棟梁自身の山に立っていた木が切り出され、柱になり、梁になり、住宅を支える。
そして室内では、その木の姿を実際に見ることができます。
さらにキッチンの一枚板のように、人の手に近い場所にも木が使われています。
山にあった木が建築の一部となり、その形や木目が空間の中に残っていく。
新城市で撮影したこの住宅では、完成した空間だけではなく、そこに使われている木そのものと、それを建築へと組み上げた棟梁の仕事が伝わるように撮影しました。
愛知・名古屋・岐阜・三重で建築写真・竣工写真を撮影しています
建築写真家 近藤雅美は、名古屋市をはじめ愛知・岐阜・三重を中心に、設計事務所・工務店・建築会社様からのご依頼で、住宅、店舗、クリニックなどの建築写真・竣工写真を撮影しています。
建物の外観や室内を記録するだけではなく、設計された空間の構成、素材の表情、光と影、視線の抜け、そして今回の住宅のような木の使われ方まで読み取りながら撮影します。
施工事例や竣工記録、設計作品の撮影をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
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