伊勢神宮おはらい町「ゑびや商店」を撮影|三重 店舗撮影

ゑびや商店の店舗内観|赤褐色のタイルと杉合板の什器を撮影した建築写真

三重県伊勢市、伊勢神宮内宮門前のおはらい町にある「ゑびや商店」を撮影させていただきました。

ZÜMA.INC 菊田和馬氏がデザイン・設計・デザイン監理を手がけた店舗で、日本空間デザイン賞 2026銀賞に続き、名古屋モザイク工業「第11回 Design Award 2026」非住宅部門にも入賞しています。

「ゑびや商店」は、飲食店であるゑびや大食堂の退店動線上に位置するギフトショップです。

限られた空間だからこそ生まれる没入感を設計に取り込み、ゑびや大食堂で食事を終えた人が店を出る際、足を止めたくなるような店舗空間がつくられています。

撮影は、まだ観光客の姿がない早朝5時から始まりました。

普段は多くの人が行き交うおはらい町も、早朝5時のこの時間には人影がほとんどありません。

店舗だけではなく、伊勢神宮へと続く門前町の静かな時間も含めて撮影しました。

おはらい町の中にある「ゑびや商店」

三重県伊勢市のおはらい町にあるゑびや商店の外観|店舗撮影

伊勢神宮内宮へと続くおはらい町。

宇治橋の鳥居を望む場所に「ゑびや商店」はあります。

外観では店舗だけを大きく切り取るのではなく、隣接する建物と通りの奥行きまで画面に入れました。

一つの店舗としてだけではなく、おはらい町を構成する建物の一つとして、その場所との関係を残すためです。

早朝の通りにはまだ人の姿がなく、木を基調とした店舗の外観と周囲の建物が連なって見えます。

普段の賑わいの中では見えにくい、建物と通りとの関係が現れる時間でもあります。

赤褐色のタイルに包まれた空間

ゑびや商店の店舗内観|床と壁を包む赤褐色のタイル

外から店内へ入ると、空間の表情が大きく変わります。

店内を構成する中心的な素材が、ブランドカラーを取り入れた赤褐色のタイルです。

床から壁、柱へと同じタイルが連続し、一つの素材によって空間全体が包まれています。

限られた面積の店舗だからこそ、素材を切り替えるのではなく、単一の素材を連続させることで、密度のある世界がつくられています。

そこに組み込まれているのが、杉合板による什器です。

タイルの寸法からつくられた杉合板の什器

ゑびや商店の店舗内観|赤褐色のタイルと杉合板の什器

杉合板の什器は、単に商品を並べるための棚として置かれているわけではありません。

タイルの寸法をモジュールとして設計され、タイルの目地と什器を構成するラインが呼応しています。

赤褐色のタイルと、明るい杉合板。

異なる素材でありながら、寸法の基準を共有することで一つの秩序の中に納められています。

ギフトショップには、大きさも色も異なる商品が並びます。

それでも空間全体が散漫に見えないのは、タイル、什器、商品を受け止めるための基準が設計されているからです。

撮影は、素材そのものを写すだけではなく、目地と棚のラインがどのようにつながっているのか、その関係が写真の中でも読み取れる位置を探しました。

ミラーによって生まれる奥行き

この店舗を特徴づけているもう一つの要素が、ミラーによる反射です。

店内の奥へ視線を向けると、赤褐色のタイル、杉合板の什器、そこに並ぶ商品が繰り返され、その先にも空間が続いているように見えます。

どこまでが実際の空間で、どこからがミラーの中なのか。

ゑびや商店の店舗内観|ミラーによって奥行きをつくる店舗デザイン

その境界が曖昧になることで、限られた面積の店舗に視覚的な奥行きが生まれています。

撮影時に考えたのは、実際より広く見せることではありません。

設計によってつくられた「奥行き」が、写真の中でもつながって見えること。

タイルの目地、杉合板のライン、商品、光、ミラーの反射。

それぞれが奥へと続いていく視点を選び、狭小空間ならではの没入感を一枚の中に残しました。

早朝の光と店舗の表情

外観を撮影したのは、まだおはらい町に人がほとんどいない早朝です。

空にわずかに青さが残り、店舗の照明と周囲の明るさが近づいていく時間。

建物だけを明るく見せるのではなく、通りの奥行きや隣接する建物も見える明るさを考えました。

内観では、タイルの反射や杉合板の明るさ、商品の色、ミラーの中へ続く光のバランスを見ながら撮影しています。

外観の撮影ではおはらい町との関係を、内観の撮影では素材と奥行きを見る。

外観と内観を合わせることで、この店舗がどのような場所にあり、その中にどのような空間がつくられているのかが見えてきます。

設計された空間の意図を写真に残す

店舗の竣工写真では、完成した空間を広く写すことだけが目的ではありません。

なぜこの素材が選ばれたのか。

なぜこの寸法なのか。

どこへ視線を導こうとしているのか。

そして、それぞれの要素がどのようにつながって一つの空間をつくっているのか。

「ゑびや商店」では、ブランドカラーのタイルによって包まれた空間、タイル寸法をモジュールとした杉合板の什器、そしてミラーによって繰り返される奥行きを意識して撮影しました。

完成した店舗の姿だけではなく、設計者がつくった空間の意図まで写真に残すこと。

建築写真・竣工写真を撮影するときに大切にしていることの一つです。

撮影を担当した「ゑびや商店」が日本空間デザイン賞 銀賞を受賞したことは、撮影者としてもうれしい知らせとなりました。


ゑびや商店

所在地:三重県伊勢市・伊勢神宮内宮 おはらい町
設計:ZÜMA.INC 菊田和馬
撮影:近藤雅美

設計プロジェクト:

受賞:日本空間デザイン賞2026 銀賞 ⁠

受賞:名古屋モザイク Design Award 2026 非住宅部門 入賞


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