玄関から始まる日本建築の美しさ
豊川市で新築住宅の建築写真を撮影しました。
建物の印象を決める場所はいくつもありますが、この住宅では玄関がその役割を担っていました。

日本の古い建築に見られるような低く構えた玄関。
低く抑えられた鴨居が視線を自然と落ち着かせ、建物へ迎え入れられるまでの時間をゆっくりとつくり出しています。
扉を開けて一歩足を踏み入れると、最初に目に入るのは一部に塗られた赤砂の壁でした。
空間全体を彩るのではなく、必要な場所だけに用いられた赤砂が、玄関の印象を静かに引き締めています。
さらに視線を移すと、丸窓と竹の格子。
やわらかな曲線と端正な直線が調和し、日本建築らしい穏やかな空気を感じさせてくれました。
足元にも宿る職人の手仕事
玄関框には、天然木の反りを生かした材が使われていました。
自然がつくり出した形をそのまま取り入れることで、玄関に豊かな表情が生まれています。
床には無垢の欅板が敷き詰められ、その一枚一枚を棟梁が特注した和釘で固定していました。
和釘は、日本の伝統建築で用いられてきた鍛造の釘です。無垢材をしっかりと固定し、板の反りを抑える役割も担います。この住宅では、棟梁が特注した和釘が欅の床板に打ち込まれ、足元にも素材へのこだわりと手仕事の跡が残されていました。
普段は見過ごしてしまいそうな部分ですが、こうした細部にまで職人の技術と建物への思いが込められていることが伝わってきます。

建築写真だから伝えられること
建築写真は建物の形を記録するだけではありません。
設計者が考えた空間の流れや、職人が選び抜いた素材、その場所に積み重ねられた手仕事まで伝えることも大切な役割だと考えています。
今回の住宅では、玄関という限られた空間の中に、日本建築の魅力が凝縮されていました。
その場に立ったときに感じた静けさや素材の表情が伝わるよう撮影しました。
設計・施工:堀田建築株式会社
写真:近藤雅美
建築写真撮影をご検討の方は、こちらもぜひご覧ください。